チックさんと私。

今でこそ信じられないぐらい親しくしているチックコリアさんですが。。

ここまで来るには、実は、私なりの長い歴史があります。
とにかく1980年代からチックコリアの大大大ファン。
中でも名盤CD”Frends"”Works"は私のバイブル。
ゲーリーバートンとのDUOのライブをブルーノート福岡で
聴いたのが初ライブでCDもかなり聴いていました。

初めてチックさんと会ったのは(ただの一ファンとして)
2000年トロント大学留学中。
チックさんのCD”オリジン”のコンサートがあり
私は一人で聴きに行きました。

客席に座りステージを見ると
ナント!マリンバがあり...
誰が演奏するの???
と心待ち...
そして終盤”Wigwam"曲でチック本人が演奏!
ピアノと持ち替えでマリンバを演奏したのです。

私はめちゃめちゃ興奮して
終演後CDを買ってサイン会に並びました。
(その時のCDは何故かCD”オリジン”ではなくてCD”コンチェルト”)

長蛇の列だったので、一番後ろに並び1時間以上も待って...
チックさんに会い..恥かしながら自分のCD”MITSUE"を渡しながら

”チックさん、私はマリンバ奏者なので、貴方がマリンバを
演奏してくれて感激しました!”

と伝えたら...

”マリンバは僕のお気に入りの楽器の一つなんだよ!”

って....
嬉しくて嬉しくて....

その時から...チックさんにマリンバのための曲を書いてもらうのが
大きな夢の一つとなったのです。


(2005年にスティーヴガッド、夫リチャード、そしてエディゴメスとの出会いがありました。)

2006年
シアトルAlleyでのチックCoreaトリオに、EddieGomezが参加したので
聴きに行き....楽屋でエディからチックを紹介してもらいました。

今思えばその頃ぐらいからダイエット始めていたのか?!
何でも食べれないとのことでしたが....
日本から持参した御土産の高級海苔を喜んでくれて..
その場ですぐ食べてくれたのが可笑しかったし...
マリンバの私のシグネチャーマレットも渡して
めちゃめちゃ喜んでくれたのを覚えています。
(そのマレットが5年前フロリダのチックの自宅に行った時にちゃんと置いてあったので感激しました)

2007年
ブルーノートNYでのチックコリアトリオ(アンソニージャクソン、スティーヴガッド)
も聴きに行きました。
その時はスティーヴからチックに紹介してもらい...
”マリンバのMIKAだね!”とうっすら覚えてくれていました。

2008年
ボストン・バークリー音楽院でのチックのショーがあった時には
夫リチャード(結婚前)と一緒に聴きに行きました。

リチャードは20年以上前に東京ミュージックJOYでチックと共演してたので
一緒に楽屋をたずねたら...
チックがリチャードとの再会をめちゃめちゃ喜んでくれて...

”Dick!僕は君のモーツァルトが世界で一番お気に入りなんだよ!”

って言ったのがはっきり記憶に残ってます。


その時にチックが私にEmailアドレスを教えてくれたので....
スティーヴ&エディとのDVDやCD”ミカリンバ”を送ったりして
コミュニケートを続けていました。
メールの最後にはいつも...
『私の夢は貴方に曲を書いてもらうことです』と書き添えて。


運命の出来事?!
2011年6月
チックのオーケストラプロジェクト2作目CD”コンチネンタル”
のレコーディングがNYマンハッタンセンターで1週間かけて行われることを
リチャードの親友フレッドシェリー(チェロ)さんから聞きました。
(フレッドがオケのメンバーを集めていたのです。)


私がリチャードにクラリネットで録音メンバーに参加してと懇願。
(オケメンバーで演奏することなんて未だかってなかったリチャードですから....)
運良くスケジュールが空いてたので嫌々ながら(笑
参加しました。


当日リチャードがオケメンバーで座ってるのをチックが驚き?!
とってもとっても感謝してくれて。。。
リチャードのためにソロパートを取り入れたりもしたんですが....

そのお陰で私は毎日そのレコーディングを見学できました。
このレコーディング時のプロデューサーだったのがSteven Epsteinで、
この時が彼との初出会いでした。



このレコーディング時にチックの奥さんゲールとも親しくなり...
ちょうどレコーディング終了日がチックの70歳の誕生日だったので...
”私のアパートで誕生日会しましょう!”
と提案して実現!

しかしチックもゲールも菜食主義者、塩、砂糖、オイルなし、グルテンなし...
とかなり制限があったのですが全ての料理を上の条件で頑張って作りました。


又ゲールからは、チックお気に入りのケーキのレシピを渡されて
リチャードと娘マリンが一晩中かかって作りました。

沢山の果物や野菜を全てすりおろしてのケーキ作りは手間も時間もかかり
相当大変だったのですが見事に完成!
(未だにこのケーキ作りは娘とリチャードのお陰。心から感謝しています。)

バースデイーパーティーには、チック&ゲール、フレッド、スティーヴン(指揮者)
マーカスなどチックの極々みじかな人だけお招きしました。


その時チックが私のマリンバを見てその音の良さに感激して弾いて。。。

私も演奏してみせたりしてセッションしたことは私の人生の歴史的瞬間。


楽しく和やかにお誕生日会が終わりました。
帰り際エレベーターの中で....
チックが突然私に....

”MIKA!マリンバの曲を貴方の為に書きおろすからね!
僕も色々とプロジェクト抱えてるから、『いつ』とは約束できないけれど
必ず書くから...”

その時は、チックが作曲した最初の”ピアノコンチェルトNo.1第3楽章を、マリンバコンチェルトとして演奏したいことも、マンハッタンセンターのレコーディングの時に伝えていたので、指揮者スティーヴンが、チック手書きスコアをアパートに持参してくれて...
慌ててアパートメントビルディングのビジネスセンターで
何百枚もある楽譜をコピーしたことも思い出の一つです。
(このスコアを元に、ピアノソロ部分をマリンバに編曲して
翌年メキシコのハラパ交響楽団と初演、今年はボストンモダンオーケストラと初録音)


2011年12月頭
ついにチックから新曲の件でメールが来ました!

”新曲を貴方の為に書きおろしたいのだけど何か希望はある?!”

『マリンバ、クラリネットをメインでグルーヴな曲にしてほしい』
とだけ伝えました。

その間ゲールから何度もチックが作曲してる様子をメールで
伝えてくれました。

”Mikaさん、とっても素敵な曲ができてるよ〜”って。

12月31日
チックから新曲”Marika”のデモテープが届きました。
”Mikaさん、こんな感じでいい?!”

私はちょうどNYからボストンへ行くバスの中で
その音源を聴き....夢が叶った感動で涙を流しながら
何回も何回も聴いたことが忘れられません。

2012年1月1日
マリンバとクラリネットの楽譜が届きました!

曲名は最初チックは”MARIKA”と記入してましたが(Mika&MarimbaのMIX)
私の提案で”Marika Groove"にしてもらいました。

1月3日から、ちょうどアリゾナのフェニックスへコンサートに
行ったのでスティーヴ・ガッドの家に遊びに行き
このデモ音源を聴いてもらい....
スティーヴも”これは良い作品だ!”と気に入りました。

アリゾナの後はフロリダへ行ったので....
チックとゲールに連絡したら
自宅に招待してくれて....
クレアウォーターの豪邸で
一晩中夢のような時間を
過ごすことができました。

なんとチック自宅にはマリンバが2台あったんですよ!

なので新曲マリカグルーヴのコーチを受けました。
素晴らしい自宅スタジオでセッションしたり....
一晩中音楽談義して...

チックのアトリエも見せてもらい
チックが描いた絵を2枚戴きました!
これはその一枚。



チックが車の中でバルトークを
聴いていたのが印象的でした。

2012年2月頭
NY・Avatarスタジオでチックコリアが私の為に書き下ろしてくれた
新曲”マリカグルーブを
スティーヴガッド、エディゴメス、リチャードストルツマンと共に
初録音。プロデュースはスティーヴガッド、エンジニアはJayメシーナ。
チックも監修。
(MIXをチックが17回やりなおしたという経緯あり。)


2012年4月4日
NYカーネギーWeillホールで録音メンバーで世界初演。
ゲールさんがチックの代わりに聴きに来てくれました。

このくらいから、とっても親しくなり
チックがボストンでギグするときは必ず招待してくれて
コンサート後はご飯を食べに行ったり....

チックの故郷ボストンでの同級生&ファミリー恒例ディナー会にも
呼ばれたりしてファミリーの一員になりました。

ゲールさんは我が家にも!


5月12日
私達の結婚式のときは音タイムでメッセージが来てびっくり!


2013年5月30日
NYカーネギーWeillホールで開催した
私達のリサイタルでは
ゲール&ハーレムカルテットと共演して
チックも友情出演してくれました。
本番当日に直々指導....







2015年 チックとゲールは
     いつも色んなミュージシャンを紹介してくれます。


私がチック作品をマリンバで演奏するにあたり...
いつもオリジナル楽譜を直ぐEmailで送ってくれたり、
たまにはサプライズで直接楽譜を戴いたりもしています。




2014年9月12日
私の50歳記念で開催した”くまもと赤の音楽祭”には
リチャードと小山薫堂氏の計らいで
南米にいたチックから届いたサプライズメッセージ!
これにはめちゃ感動!


2016年4月10&11日
ボストンWBGHスタジオでのレコーディングでは
チック作曲コンチェルトNo.1を録音しました。
レコーディング日をチックのボストンGigと同じ期日&翌日にしていました。
もしかすると来てくれるかもしれない?!と期待しつつ....

レコーディングの1週間前一か八か....
チックの携帯メールに、コンチェルトの中の
一番難しいソロ部分を演奏してビデオに撮って送ったら...

『Mika,You are Samurai Marimba Warrior
conquering the 3rd movement trickery!
So I can be in Boston at your service on Monday the 11th after 2pm-
If that is still something you'd like to do.』

と返事が来て、大喜びで飛び上がり興奮!

実際スタジオに来てくれた上に...
その場でチックの昔の名曲”シージャーニー”を
即興でレコーディング(マリンバ、クラリネット、ピアノでのトリオ)
することが実現したのです!









 I am so lucky!!!!!

チックコリアが書き下ろしてくれる音楽は
私のマリンバ人生における
大きな財産です。
素敵なメロディー、ユニークなハーモニー、複雑なリズム(グルーヴ)
全てが兼ね備わっていて、
演奏者にとっても、聴き手にとっても
面白いチックさんの音楽は
絶対にマリンバに合うと信じて疑わなかった。
私のこの大きな夢が大きく叶ったこと。。。
未だに信じられませんが。。。
私の周りにいるリチャード始め
サポートしてくれる親友達のお陰だと
ただただ感謝しかありません。



これからもっともっとチックの音楽を
素晴らしく演奏できるように練習頑張ります!

またチックからは、マリンバソロ曲も書きおろすと
約束してくれてますので
それも楽しみ!

チックさんは永遠のヒーローです!
Love,MIKA






















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